2つの商店街が連携し
SNSや交流拠点づくりでまちの未来を育む
高松町商店街振興組合
高松大通り商店街振興組合
2026年6月取材

東京・多摩地域の中心都市として、多くの人が行き交う立川市。商業施設が立ち並ぶ駅前から少し歩くと、個性豊かな商店や住宅街が広がり、地域に寄り添う暮らしの風景が残っています。JR立川駅北口から徒歩約10分。立川通り沿いにある高松町商店街と高松大通り商店街は、長くまちの人々に親しまれてきた商店街です。
そんな2つの商店街が連携し、2024(令和6)年に「東京都未来を創る商店街支援事業」に多摩地域で唯一採択され、交流拠点の開設やSNSでの情報発信、学校との連携など、人と人とのつながりを育む新たな商店街づくりに取り組んでいます。

2つの商店街が運営するまちの交流拠点「たかまつトコトコ」
立川駅から徒歩圏内に肩を並べる商店街
立川駅北口からまっすぐ延びる立川通り。その沿道に広がる高松町商店街と高松大通り商店街には、昔ながらの個人商店と、新しくオープンした飲食店や美容室などが軒を連ねています。マスコットキャラクター「トコちゃん」で親しまれる高松町商店街には約40店、毎年落語イベントを開く高松大通り商店街には約42店舗が加盟。飲食店やサービス業を中心に、近年は医療機関も増え、地域の暮らしを支えています。
「駅に近いことから、近年はワンルームマンションも増え、一人暮らしの若い世代も多く暮らすようになりました」と話すのは高松町商店街の新井副理事長。長く受け継がれてきた暮らしと新しい人の流れが交わるのが、このエリアならではの特徴となっています。

高松町商店街のキャラクター「トコちゃん」

昭和15年創業の米店「横町屋」
「東京都未来を創る商店街支援事業」に採択。
地域の絆を育む3年間の挑戦
近年、両商店街では、駅前への大型店の進出やアーケードの撤去、店舗経営者の高齢化などを背景に、商店街の一体感やにぎわいが薄れつつあることが課題となっていました。一方、同地域では人口は増加傾向にあり、小学校の児童数も増加。立川駅北口周辺の再開発も進むなど、新たな流れも生まれています。
世代を超えて寄り添い、人の輪を育む商店街に。そんなビジョンを掲げて、高松町で肩を並べる両商店街は手を取り合い、「東京都未来を創る商店街支援事業」に挑戦。2024(令和6)年に多摩地域で唯一採択され、「地域の絆強化で高松町を楽しい街に」を合言葉に、3年間をかけた4つのプロジェクトがスタートしました。目指すのは、若い世代にも魅力があり、多世代が交流できる活気ある商店街です。

商店街の街並

住宅設備工事店の小川屋商店
地域交流拠点「たかまつトコトコ」
2026(令和8)年1月、高松大通り商店街が所有する「WING高松」の1階を改修し、両商店街が共同で運営するコミュニティスペース「たかまつトコトコ」がオープンしました。
高松大通り商店街振興組合の小林副理事長は「今までよりもっと前に出て次につながるような拠点を、若い人のアイデアを取り入れながらリニューアルしました」と振り返ります。両商店街の若手メンバーが中心となって企画運営を担い、立川市内で多くの店舗や住宅を手掛ける「kitori」が設計を担当。シェアキッチンとして利用できるよう保健所の許可を取得し、加盟店である西東京調理師専門学校の意見も取り入れました。
現在は、シェアキッチンやレンタルスペースとして利用できるほか、子ども食堂やマルシェ、落語会など様々なイベントを開催しています。将来的には、ここでチャレンジショップを経験した人が商店街で開業するなど、新たな担い手を育む場としての役割も期待されています。「駅から近くて使いやすい」「きれいな空間」と利用者からも好評で、まちの交流拠点として定着しつつあります。

「たかまつトコトコ」外観

「たかまつトコトコ」内観

親子向け演劇ワークショップを開催
モニュメントとSNS発信で
まちの一体感と魅力を創出
かつてあったアーケードがなくなり、以前に比べて商店街としての一体感が薄れつつあることも、課題の一つでした。そこで両商店街では、地域社会の絆を深め、新たな魅力を創出する取り組みとして、パブリックアートの設置とSNSによる情報発信を進めています。
商店街内には、高松町在住の銅板作家・赤川政由さんによるモニュメントを設置。バスケットボールやフットサル、自転車など、立川で盛んな競技を中心としたスポーツをモチーフにして、台座づくりには立川市立第五小学校の児童も参加しました。現在は6カ所に設置され全12カ所の完成を目指して整備が進められています。モニュメントを巡りながら商店街を歩き、お店の魅力に触れてもらうことで、新たなにぎわいの創出につなげていきます。
また、商店街のInstagramでは、イベントや各店舗の魅力を発信し、各店舗が共同投稿できる仕組みを導入しながら、継続的な情報発信の強化を図っています。


商店街内には、高松町在住の銅板作家・赤川政由さんによるモニュメントを設置
若い世代ならではの発想をまちづくりに
地域の学校と連携
商店街では、周辺の学校や教育機関との連携にも力を入れています。若い世代の発想をまちづくりに取り入れ、子どもたちや学生が周辺地域への理解を深め、愛着を育むきっかけをつくることが目的です。
都立立川国際中等教育学校の生徒が探究学習の一環として装飾灯のフラッグを制作したほか、立川市立第二中学校吹奏楽部が「たかまつトコトコ」のオープンイベントで演奏を披露しました。現在は立川女子高校によるイベント企画も進行中で、西東京調理師専門学校や国際製菓専門学校などとの連携も広がっています。
高松町の学校と商店街が一緒になってまちをつくることで、若い世代が訪れ、地元への愛着を育む取り組みを進めています。

都立立川国際中等教育学校の生徒が制作した装飾灯のフラッグ

立川市立第五小学校の児童がモニュメントの台座づくりに参加
商店街が育む、人と人がつながるまちづくり
商店街の若手メンバーを中心に進められてきたこのプロジェクト。交流拠点「たかまつトコトコ」は約半年間のテスト運用を終え、2026(令和8)年7月から一般利用をスタートしました。
キッチン付きのレンタルスペースは、同窓会や保護者会、ワークショップ、展示・販売など幅広い用途で利用でき、「キッチンが立派」「駅から近くて使いやすい」と利用者からも好評です。6月には約40年続く「ウイング高松寄席」の会場にもなり、演者と観客の距離が近い、温かな雰囲気の寄席が開かれました。
「これから本格的にPRを進めて、もっと多くの人に知ってもらいたいです。リアルなつながりや口コミで少しずつ輪を広げていければ」と話す小川さん。商店街という枠を超え、人と人、人と地域をつなぐ交流拠点として、手を取り合い歩み始めた両商店街。高松町の未来を育むまちづくりとして、これからも広がっていきそうです。
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■お話を伺った人 (前列左から) |
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